Time after teime

いらっしゃいませ

恋になれ…

「ほんなら、また明日な」
「うん…」
「腹だして寝て、風邪ひくなや」
「そんなんせんわ!」

いつもみたいに…甘くない言葉を残して、軽く手をあげて、
平次は行ってしまった。
背中をじっと見送ってると、いろんな想いが頭を駆け巡る。


今日という日を一緒に過ごしてー…
それでもやっぱりアタシはただの幼なじみなんかな、
平次はアタシのことどう思ってるんやろうか。

恋だの愛だの、めんどくさいとか興味ないとか
平次は言うかもしれんけど

恋になったらええのにな…
平次にとっても、アタシが。

そう、何度も祈ってた。

 

今年のクリスマスは、ちょっとだけ特別やった。


恋人同士でもなんでもないから、約束なんてしたわけでもなくて、

「なぁ平次、今日ちょっと遠回りしてみーへん?
ほら、駅前とかな、キラキラしとってめっちゃきれいやん!」
そんなノリで、平次を誘った。


結局、変わった場所に行ったわけでもなく、
いつも通ってる道やし、いつも来る駅やし。
でも、そんなことはどうでもええんよ。
アタシにとって大事なんは隣に平次がいるかいないかなんやからー…。

「な、なぁ平次…」
「なんや」
「やっぱりこういうところは、か…カップルばっかりやんな」
「そうかー?わからへんやん」
「ただの幼なじみかもしれへんし?」
「そう」
アホ。ただの幼なじみが手繋いだり、腕組んだりせんやろ。
アタシらだってー…。

「さむいー」
「お前自分が来たい言うたくせに」
「けどキレイやんな!寒いけど寒くない!」
「あーせやけど…。
どうせ見るなら、もっと有名なスポット行ったらええねん。
バイク飛ばしたら多少遠くてもすぐやし」
「え…?」
それは、有名なスポットに、連れて行ってくれるゆうこと?

平次のことやから、特別な意味なんなくて、
何気なく言うたのかもしれへんけど…、

「…ほんなら来年、連れてってや」
「あぁ」
「その次は、もっと遠いところな!」
「もっと遠いところってどこやねん」
「バイクでも、行けんような」
「それ、日帰りできるんか?」


約束するとな、次の年も一緒にいられるんやって、
自分が勇気づけられるんよ。
平次は笑いながら答えてくれるから。

ただの幼なじみのままでも、ずっと、
一緒にクリスマスを過ごせるんかな。

そしたらアタシはクリスマスは、ずっとずっとずっと幸せ。
たとえ…手を繋いだり、腕を組んだり、
そんな、恋人みたいなことは出来なくても。

「あ、事件…」
「あ?」
「事件が起きたら、平次行ってしまうから、
どこにも連れて行ってもらえんやん!」
「そら、しゃーないわな」
「クリスマスくらい、毎年平和やったらええのに」
「毎日どっかしらでなんか起きてるんやから、それはないわな」
「そうやな。平次の周りは事件だらけやしな」


でも、やっぱり、欲を言えば…。本音はな、
ちゃんと、「好き」と伝えて、恋人としていつかは過ごしたいな。
平次の笑った顔見てると、そう思ってしまう。


今は…無理でも、いつか…いつか、

世界中の勇気をかき集めてでも。

 

「もう、帰るか?」
「うん…そうやね」


今は恋人ではないから、サヨナラの時間は容赦なくやってきて…。
また、キラキラした通りを、横に並んで歩く。
手は、繋げんくても、
肩はちょっとだけ、触れてる気がする。
そんだけでも、ドキドキドキドキ…
うるさいなぁ、心臓。


「ほんなら、また明日な」
「うん…」

 

サヨナラから数時間後、

夢の中でもまた、平次に逢えますように。
今日一緒に過ごしたことを思い出しながら
アタシは眠りにつくんやろうな。

今はまだ、ちょっとだけもどかしい、でも
布団の中で平次を想って、それだけで
めっちゃあったかーい気持ちになれる

そんな、クリスマス。

 

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『恋になれ…』 ♪小松未歩 より 
2014年、片恋クリスマスです。
コナンといえば、の小松未歩さんの曲からクリスマスっぽい曲お借りしました。
歌詞から言葉引用してたり、全然関係なかったり…。
(それはいつものことなんですが…)
 
2014/12/24 UP

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