Time after teime

いらっしゃいませ

告白メランコリック

「はぁぁぁぁほんま、最悪やわ…」

あの日から、あたしはため息ばかりしとる
今日も朝から絶不調で、机にふせたら顔もあげられへん…

「和葉ぁ どうしたん?」

友達も、心配して声かけてくれるけど、だめやわ
ぜーんぜんやる気がでーへん

「ここんとこ、服部くんとの夫婦喧嘩もみられへんしなぁ…」
「しっ。服部の名前は禁句やねん」
「は?なんかあったん?」

「はぁぁぁぁ もうだめやわ…
あたし失恋したようなもんや…」

「失恋やて? ありえへんやろー」

ありえへん?
ほんまにそうやろか
そうや…失恋…さえもできてないんよ、気持ちすら届かへんかったんやから

あたしは、ものすごい覚悟して、一世一代の大決心で
平次に「めっちゃ好っきゃねん」て言うたんよ
いっつも憎まれ口ばっかりで全然素直になれへんあたしが、
あのセリフ言うのにどんだけ頑張ったかわかっとる?
そらもう言葉には言い表せられへんくらいの勇気使うたで

それをや、あの男
聞きもせず去っていったんや
それこそありえへんやろ

なんや、コナンくんに大事な話があったみたいでめっちゃ親しげに話しとったけど
あたしの告白より大事な話だったん?
あたしの存在なんて結局そんなもんなんやな

小学生の男の子にジェラシー感じとるなんて…
あたし今、世界一情けない女子高生や


「和葉 元気出し。なにがあったか知らんけど、大丈夫やで
あんたがそんなうつむいとるから、頭のしっぽも元気なくしとるわ」
「そうやそうや らしくないで
ほら、服部も心配そうにこっち見よるよ」
「…もう平次の顔見とうない…」
「まぁ、そう言わんと」


平次が心配するわけないやん
あたしがちょっかいかけんようなって、せいせいしてるんとちゃう?


こんままそばから離れよか?
……
…だめやわそれはあたしができひんわ
こないな仕打ち受けても、やっぱりあたしはアンタが好きなんよ


せやったら聞かれんくてよかったんかもな
ほんまにフラれとったらもう幼馴染としてもそばにはおられへん

そもそも事件が起きた場所で、事件解いたすぐあとの平次に
言うことすら間違うとった気がするわ
あんときふつーに人おったし
あんなところで告られたら、平次かて迷惑や


あらためてもう1回…なんてとてもそんな気力はでーへんけどな
1回折れてしまった気持ちはそう簡単には持ち直さんのや
かといって今まで通りの態度もできんでおる、
今のあたしはほんまどうしようもない


…そんなことをもやもやもやもや考えとったら、午前中の授業が終わってしもうた
いつも待ちに待ってる昼休みや
けど今日は、お昼ごはんものどを通らへん

 


うだうだうだうだしとるどうしようもないあたしに、どうしようもない男が声をかけてきた

「おい どうしたんや?
朝からへんやで? 腹でも痛いんか?」

はぁ? ほんまに…この男は…

「なんや、無視すんなや
ちゅーかなんか避けられてるんか?オレ
なんかしよったか?」
なんも答えず、思い切り睨みつけてやったあたしに、平次はなーんもわかっとらんような顔で話を続ける

「なんもない、ほっといてや」
いつも以上につんつん答えるあたし、ほんま可愛くない女や


「ちょっと来いや」
「ちょ…痛いんやけど」
そんなあたしの手をひっぱって、平次があたしを連れてきたんは人気のない校舎裏やった

 

 


「なんや、言いたいことあるならはっきり言えや
黙っとったらわからんやろ」

はぁ!?
言いたいことがあるなら言え?

言いましたけど
はっきり大きな声で叫びましたけど
聞いてへんかったんはアンタでしたよね?ね?


…黙っとっても伝わらへん…
あたしは重い口を開いた

「アンタ…こないだあたしが大事な話してたのに急に逃げよったやん…
なにが黙っとったらわからん、よ?」
「こないだ…ってあの事件のあとか?
大事な話って、工藤の告白のことやろ?」
「ちゃうて―――――!!
なんでそないなこと話すのにわざわざアンタと二人きりにしてもらわなあかんのや!!
もっと大事な話や!!」

この男は…どこまでアホなんやろ

「な…なんや そら悪かったな
ちゃんと聞くから言うてみん」


「…もう言われへんわ」
「なんでや?」
「そ、そんな簡単にホイホイ口に出せる話やないんや!!
どうせアンタにとってはどうってことない話や、聞かんでもええわ
…コナンくんとの話のが重要なんやろ」
「なんやて?」

うわっ 最悪や
小学生に嫉妬しよる、バカな女丸出しや
もうほんま…アンタのことになると余裕なくなるねん
あかん泣きそうやわ
もう平次どっか行ってや…


「泣かんでもええやろ」

あたしの頭をわしゃわしゃと撫でながら、平次が小さい声で話しだす。

「なんや、ようわからへんけど
そない大事な話ならまた言おう思うたら聞かせてや

くど…あのボウズとはしょっちゅうは会えへんし聞きたいことあったらすぐにでも聞かなって
体が動いてしもたけど

和葉とはいつも一緒におるんやで、別にいつでも聞けるやろ」


な、なんやねんその言い訳は…
コナンくんにすぐに聞きたいことってなんやったん
わからん…平次がわからん…


でもやっぱり
どうしようもなく好きやわ
触れられとる頭のてっぺんから、気持ち全部出てそうや
なんでアンタには伝わらへんの?


「もう言わへん言うたやん…」
「なんや、気になるやん」
「一生気にしとったらええわ!」

 

もう、ええわ
ずっと一緒におってええって、アンタが認めてくれるんやったら、
幼馴染って立場利用してずーーーーーーっとアンタのそばくっついて離れへん、
ズルい女でい続けたるわ


そんでもいつかこの気持ちがどうしようもなく溢れて言葉に出てしまったときは、
そんときはちゃんと聞いてや

今度は逃げんでな?

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75巻、和葉ちゃんの告白失敗…のその後のやりとり、の妄想です。
次の告白は是非平次から!!
そんな願いを込めまして…☆

2013/08

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