Time after teime

いらっしゃいませ

抱き合えばちゃんと伝わる

「平次、大丈夫…?」
「なにがや」

触れ方でなんとなく、平次の気持ちがわかるようになった。
それくらい、ずっとずっと一緒にいる。
身体を這う唇もいつもより強く肌に吸い付く気がするん、
もちろんそれが、嫌なわけではなくて。

「んー…」
手首を握る手が少し緩まった瞬間に逃げるような仕草を見せると
すぐにまた強く掴まれ動きを止められる。
お互いに言葉にはしないそんな小さなやり取りで愛情を感じるのが嬉しくて、わざとそれを繰り返してる。

「逃げられへんで」
「別に逃げるつもりないよ」
「せやな、はよして、って待ち構えてる顔しとるもんな」
「な…っ。そんなことない!」
「ほんならとことんじらしたろか」
「……ほんっま、意地悪やね」

自分からベッドに引きずり込んだくせに。
そう言いたげに拗ねた顔で平次を見ても、にやにやいやらしく笑って目を合わせるだけ。


「…しんどくない?」
「あ?」
「嫌な事件やったな。犯人の動機も理不尽すぎたし」
「…そんなん、いくらでもあることや」
「そうやけど…」
だって平次、少しつらそうやから。
にやにやいやらしく笑ってても、ふとした瞬間に寂しげな表情になっとるよ。気づいてない?
触れ方でなんとなく、気持ちがわかるようにまでなったんよ。

こういうとき、今、世界でいちばん平次の近くにいるのはアタシなんやな、って実感するから
なんとなく、やなくて
平次の全部が伝わったらいいのにって思う。


「しんどかったら、吐いてもええよ」
「え?」
「アタシしか、聞いてないんやし」

「…別になんも吐くことないし、しんどいこともないで」
「…そ…う…」
「なんかあってもお前には言わへん。
そんな弱音吐くみたいなことせーへんわ」
「えー?なんでよ。アタシは…嬉しいよ。
そういうところも見せてもらえたら」
「好きな女には見せたくないねん」

やったら、他に、誰に見せるん?

きっと平次は、自分の弱いところは人には見せんのやと思う。
好きな女言うてくれた、アタシだけにやなくて。
得意気に推理を披露して事件を解決しても、
怒れたり悲しかったり傷ついたりだってするやろうに。


肌を重ねても
触れ方でなんとなく気持ちがわかるようになっても
平次の背負うもの全部はわからない。
アタシは時にそれが、少しだけ悔しくなるんよ。


「和葉」
「ん…?」
「そんな顔、せんでえーっちゅーに」
「……」
「今日の事件は確かに後味悪かったけど…
そんなことよりオレの頭は今、はよお前ん中入りたいってことでいっぱいやねん」
「は…ちょ…、な、なに言うてんの!?
いきなり、スケベなこと言わんといてや!!」
「いきなりもなにも、今オレらスケベなことしとんのやで。
お前こそなんやねん、大丈夫?だのしんどい?だの事件の話して中断しよってからに。
もっと集中せーや」
「し、集中してるもん…」

あぁ、そっか
こんな心配は、
もしかしたら必要なかったんかもしれんな。
今この瞬間は後味悪い事件のことなんか忘れて
アタシのことだけ考えてくれてるんやったらそれはとても幸せなこと。


「言葉じゃないんかな…」
「あ?」

ぼそっと発した言葉になにが?って言いたげな平次の首に手を回して引き寄せてキスをすると
それが合図になったかのように会話は途切れ
我慢しきれず漏れてしまうアタシの声と
愛し合う音とお互いの息づかいだけが部屋に響き合う時間がまた始まる。

今、世界でいちばん平次の近くにいるのはアタシなんやな、って実感するから
アタシの気持ちちゃんと全部伝わるように
抱きつく腕に精一杯の力を込めた。


平次の背負うもの全部はこの先もわからないままかもしれんけど
わからないままでもええんかな…。
大丈夫?もしんどい?も
そんな言葉はときには無意味なもので。

わからないことはあるけど
わかることもいっぱいあるんー…。


―そう例えば
めっちゃ好きやで、愛してるよ 、って
言葉にせんでも触れ合えばちゃんと伝わる。
抱き合えば伝わる。


++++++++++

久しぶりにエロいの書きたくなったのですがなにが言いたいのか?なうえに
ストーリーもなにもなく結局くさいだけになっちゃって撃沈です(´;ω;`)
布団の上にいるお話は、だいたいストーリーなんてないんですけどね…^^;
大人になってからのお話です(*^_^*)
 
2016/02/15 UP

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