Time after teime

いらっしゃいませ

Sweet

「平次の口ん中、甘いんやけど…」

「はぁ~?甘いのはお前やろ」
「アタシ別に甘いもん食べてへんもん」

キスしたら、チョコレートのニオイに包まれた。
アタシがあげた、手作りのチョコレート。

甘くて甘くて
くらくらする。

平次のキス。

もうこれが何回目のキスになるかも、忘れたよ。

 

「なぁ平次、今年は何個、もらったん?」
「もらってないわ」
「え、そうなん?」
「なんでお前がおるのにもらうん?付き合いだしてから一切もらってへん」
「そうやったん…。ほんならホワイトデーにアタシがお返し選びに行く必要もないんか」
「なんや、もらったほうがよかったんか?」
「そんなわけないやん!
平次に食べてもらうんは、アタシのチョコだけでええもん…」
「せやせや、お前の甘ったるいチョコレートだけで十分やねん。
これ以上食べたらくどいわ」
「失礼やねー、くどいって!」


そうや、アタシのチョコはな、
特別に甘くしとるんよ。

平次、きっと、
アタシのチョコ以外は受け取らないって、
自信があるから。


ビターなほうがええ、って言われてからずっと、ビターチョコを渡してきたけど、
恋人同士になれてからはな、
また、甘いチョコレートに戻したん。
どうせ、いっこしか食べへんのやったらええやんな。


「で、お前はほかの男にあげてへんやろな」
「渡したよ」
「は?」
「お父ちゃんやろ、大滝ハンに、あと平次んとこのおっちゃんに、ってオバチャンに渡しといたで」
「オレの親父はええやろ…。
ちゅーかお前、工藤に渡したりもしとったし…オレだけにしとけや」

…平次、それ、やきもちなんか?


「ええやん!チョコくらい…。
…平次にしか、あげんもんもあるんやし…」
「なんやそれ」
「え、なにて…」


「オレにしかくれんもんてなんやねんな。言うてみん。
なぁー和葉―」
「い、言わせんといてや!平次のアホ!!」

なんやそれ、て、白々しいわ。
わかっとるくせに。


これから、甘いキスの続きが、あるんやろ…?

 

ずっとそばにいたけれど、
渡せんかった本命チョコ。
言えんかった言葉。

今は、ちゃんと言えるよ。

 

「和葉」


優しく名前を呼ばれて、
抱き締められて、平次の腕の中。
ドクンドクンと、平次の胸の鼓動が耳元に響いて、
心地よくて目を閉じて、

感じるんはなんやろう…チョコレートよりも、もっと、甘い甘いなにか…。

 


こうして、想い合えるまで言えんかったんよ。

 


「平次、大好きや」


普段、とても簡単には口には出来んアタシの告白を聞いて、
平次はなんも言わずに、アタシの頭を優しくなでて、
抱いてる腕をぎゅっと強めて、


アタシはその隙間からチラッと平次の顔を見た。
そしたら、平次、微笑んでくれたから…
なんだか少し、泣きそうになった。


平次はそんなアタシの顔をぐいっと寄せて、さっきの、キスの続き。


ずっと、こんな日が来ることを願ってた。

 

甘い甘い甘い甘い、

恋人同士のバレンタイン。

 

++++++++++

2014年、恋人バレンタインです。
久しぶりに読み返して…なんとまぁ、恥ずかしいことでしょう!
でももう、そんなことも言ってられません。今さらです。
どうせならこの勢いで、と、もっと恥ずかしい文章書いてみましたw
平気な方はこちらからどうぞ…!
甘いのもクサイのもどんと来い!!

2014/02/14 UP

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