Time after teime

いらっしゃいませ

I wish

年が明けた。

平次はまた暮れから事件追っかけとって、バタバタ月日が過ぎてしまって、
アタシも、年末年始は大阪には帰らずこっちで過ごした。

場所は違うても平次と一緒に迎える新年。
それは、昔からずっと変わらない。


「平次、蘭ちゃんたち来たで。」

「あけましておめでとう。」
「わぁ!蘭ちゃん、めっちゃキレイやなぁ!」
「ありがとう。和葉ちゃんこそ、やっぱり着物似合うね。」
「ほんまに?ありがとう。照れるわ~。」
今年は成人式やから、買った着物着て初詣行ってみようか、って蘭ちゃんと約束したん。


赤い小さな花が散りばめられた着物姿の蘭ちゃんはそれはそれは可愛らしくて、
それも全部隣におる人に見せたいがためなんやと思うたら新年早々幸せな気持ちになった。

「なぁ、工藤くん、蘭ちゃんめっちゃ可愛いよな!」
「あ、あぁ…。」
隣におるその人も、見とれて言葉が出てこんみたいや。

「よかったな。高2んときは長いこと離れとったもんな。
二人が並んでるの見るの、やっぱり嬉しいなぁ、平次。」
「…そうやな。」


「ちゃんと、ずっと一緒におれるようにってお願いせなあかんよ。
まぁ、大丈夫やと思うけど。」
「うん。そうだね。」

恋する女の子が、初詣で願うことなん決まってると思う。
3年前の蘭ちゃんが神様に願ってたであろうことは、今はちゃんと叶えられてるんやね。


「…なんやねん。一人でにやにやしよって気色悪いなぁ。」
そんなににやけとったか?
年が明けても相変わらずな口調で平次はアタシをバカにする。

「やって、嬉しいやん。蘭ちゃんかわええし、工藤くんも幸せそうやし。」
「さっきから蘭ちゃん蘭ちゃんて、お前人のことより、自分は何願うん。」

「アタシ?
アタシは…毎年おんなじやよ、お願いするんは。」
そう、願うことなん、ひとつしかないんよ。

「なんやねん。」

「蘭ちゃんたちと一緒や。
…けど、アタシは今まで、アンタと離れることもなくずっと一緒にいられたやん。
お願い、よりも感謝せなあかんな、神様に。」


「さよか…。」
「あ!平次照れとるん!顔赤いで~。」
「照れてへんわ。うるさいな。」
「え~。
で?平次は今年こそなんか願いごとないん?」
毎年、別に神様に願わなあかんことなんない、言うけど…
なんかあるやろ、ひとつくらい。


「オレもー
…工藤たちとおんなじや。」


少し小声で話す平次の、目線の先に、蘭ちゃんと工藤くん。

ん?
まわりくどない?


「なんやのー。そこは、和葉と同じや、でええやん。」

「あ?」
「工藤くんたちとおんなじ願いってなんやのー?
なぁなぁ平次―。」
「あーもううるさいうるさい。うるさいねんお前はほんまにー。
せっかく着物似合うてるんやで黙っとれや。」
「え?似合うてる?そんなに可愛いか?」
「可愛いなんて言うてへん。」


そうや。
会うてからいっかいも、アタシの着物についてなんも触れてなかったやん。
真っ先に言うてくれてもええ、思うのに…。

まぁ、でも、そんなことは
平次の赤い顔見てたらどうでもよくなってしまったよ。


年が明けてもアタシらは、相変わらずやね。
それが一番、嬉しいことなんやけど。

 

今年も、
事件追って危ない目に遭うても、絶対アタシんところに帰ってきて。
いっぱいケンカしてもやいやい言い合っても仲直りして、
楽しいこといっぱいしような。


願いは毎年、変わらない。


ずっと一緒にいられますように。

 

++++++++++

2014年、A happy new year!
4人で初詣…を考えたはいいけど、年末年始は大阪に帰るだろう!と気づき、無理やり帰らせないことに;

2014/01/04 UP

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