Time after teime

いらっしゃいませ

初夜

緊張してないゆーたら、嘘になるな。


「なぁ平次…やっぱり恥ずかしいわ…」
「なんや、やめるんか?」
「やめへんけど…
あんまり見んといてくれる?」
「あほぅ、今お前の裸見んでなにを見る言うん」
「もぅ~やらしいこと言わんといて!」
「今からやらしいことすんねんで」
「そんな言い方せんでよ~」

いつもとおんなじように憎まれ口叩いとるのに今日はいつも以上にかわええな。

オレの下でほっぺた赤くしてじっとこっちを見る和葉。


ずっと、ちっさい頃から知っとる女や。
風呂だって一緒に入ったことあるし、裸見るのなんて初めてやない。
って言うても子どもの頃の話やから、今日のこれとはまったく別や…。


やっと、オレのもんになるんやで。
この日を待っとった。
オレかて初めてやけど、なんとかなるやろ。

緊張してないゆーたら、嘘になるけど。


「なぁ平次…」
「なんや?」
「こ、声とかどないしよう?」
「なんやて?」
「あたし、あんたが見てるDVDに出てくる女の人みたいな色っぽい声出されへんよ」

いつ見たんやそないなもん…

「そんなん自然にしとけばいいんや
意識して出すもんちゃうで」
「黙っとけばええんか?」
「黙っとれんようにしたるけどな」


な、なんやろ…
これからあまーい雰囲気になるところやのに、こいついちいち何を言うん。

ほんまアホやわ。

けどそんなとこもごっつかわええて、
やっぱりオレはお前に溺れとるわ。


「なぁ平次…」
「まだなんかあるんか?」


「好きやで」


今、ここで、潤んだ瞳ぇしてそれ言うんは反則やで?

完全にスイッチ入ったからな。


本気だしてくで、和葉。

 

++++++++++


あかんあかんあかんあかん、
覚悟したはずやけど、めっちゃ恥ずかしいわ!


「ちょっと!どこ触ってんの!」
「お前な…触らなできひんやろ」

ついいつもみたく、可愛くない口調になるよ。

だって推理するとき以外で、平次のこんな真剣な顔見たことないんやもん。


ずっと好きやったんよ。
やっと想いが通じて、今まで以上に近いところに平次がおるん、幸せ以外のなんでもない。

あたしに触れる手とかあたしを呼ぶ声とか、めっちゃ愛しくてたまらんよ。

けどずっと昔から知っとる間柄やけ、照れ臭いんよこういうのは。
あたしさえ知らないあたしを、あんたに見せるのは少し怖い。

嫌われたりしたらどないしよう…とか、アホみたいに考えるん。


あたし、いっぱいいっぱいやねん。


「和葉」
「な、なに…?」
「大丈夫やで」

「お前の嫌がることせーへんし、
やめろ言うならやめたるで…む、難しいけど」
「平次…」

不思議やな
あんたに大丈夫って言われると、ほんま大丈夫な気するよ。

「やめんくってええよ
言うたやん、平次のこと好きやって
こんな緊張ぜーんぜんたいしたことないねん」
「ほんならやめんで
覚悟しぃや」


あ、スイッチ入ったみたいや。
事件解くときみたいなええ顔しとるわ。

 

平次の唇があたしに触れる。
それはどんどん深くなる。

今までぐちゃぐちゃ考えとったいろんなこと、全部飛んでまうわ。


ずっと一緒におったあんたの、今まで知らなかった顔。
いっぱい見せてや。
あたしだけにやで?

 

今日のことはきっと一生忘れへん。

これから先なんべんもあんたと過ごす熱い夜。

 

お互いぎこちなく触れる、その最初の日。

 

++++++++++

モノローグ主が途中で変わりました。
R18ではないんだけどエロいことしてる…という感じのお話が私は好きなのかな、と思います^^;

2013/08 UP

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